ご相談の多い症状・お悩み
アレルギーの主症状
よくある症状としては、
- 透明でサラサラした鼻みず
- 鼻づまり
- くしゃみ
- かゆみ
→ 鼻がムズムズする、体や顔がかゆい、目がかゆい など
があげられます。
その他にも、
- 頭が重い、ボーッとする
- だるい、眠気がある
- 微熱症状
- 頭痛
- せき
- のどのイガイガ・違和感
など、幅広い症状が特徴的です。
かぜ症状との違い
アレルギーによる症状は「かぜ」と間違われることもありますが、かぜ症状と異なる点があります。
- 高熱にはならない
- サラサラした鼻水
→ ドロッとした粘調性の色のついた(黄色く濁った鼻水または緑色)鼻水ではない。 - 症状が天候や環境に影響される(花粉症の場合)
アレルギー性鼻炎の特徴
神経や血管を刺激するアレルギー物質
アレルギーとは
私たちの体の中には免疫機能が備わっており、ウイルスや細菌などの異物が入ってきた時に、これらの外敵を攻撃しようとします。ところが、この免疫機能が食べ物や花粉など私たちの体に直接害を与えないものまでを有害物質と認識して過剰に反応し攻撃することがあります。
すると本来ならば体を守るはずの免疫反応が自分自身を傷つけてしまうアレルギー反応に変わってしまいます。
アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎はくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどがアレルギー反応によって起こる病気です。アレルギー性鼻炎は自然寛解(病気が自然に治ること)が少ないことが特徴です。
この病気の代表には杉の木の花粉が原因でおこるスギ花粉症やダニによっておこるダニアレルギー性鼻炎があります。日本のスギ花粉症は1964年に栃木県の日光で初めて見つかった病気ですが、その後、この病気に罹る人が急激に増え続けています。
環境省の統計では1988年には日本人の16.2%がこの病気に罹っていましたが、2008年には23.4%となっています。ダニが原因で起こるアレルギー性鼻炎と合わせた人の割合は39.4%で、日本国民の約4割がアレルギー性鼻炎に罹っています。
またアレルギー性鼻炎になる人の低年齢化が進み、小学生でアレルギー性鼻炎に罹っている児童の割合は2012年に約30%になっています。この20年で10歳代は 2.5倍、10歳以下だと20年で4倍にも増加しています。これは同じ様なアレルギー反応が原因で起こる気管支喘息やアトピー性皮膚炎と比べて、増加の仕方が非常に多くなっています。
アレルギー性鼻炎の種類
アレルギー性鼻炎は、
- 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
- 通年性アレルギー性鼻炎
に分類されます。
それぞれの特徴と原因については、下記で解説します。
アレルギー性鼻炎の原因
アレルギー性鼻炎を引き起こす原因物質「アレルゲン」
季節性アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性鼻炎のアレルゲンは主に植物(樹木・雑草)の花粉です。
春に飛ぶスギの花粉がよく知られていますが、初夏から秋にかけて飛ぶイネ科植物(カモガヤ)やキク科植物(ブタクサ・ヨモギ)などの花粉でも症状が起こります。
また地域によっても飛ぶ花粉の種類や時期が異なります。
通年性アレルギー性鼻炎
通年性アレルギー性鼻炎のアレルゲンは主にハウスダストです。
ハウスダストとは室内にたまるホコリのことで、ダニやその死骸・フン・フケ・アカなど様々なものが含まれ、身の回りに一年中存在しています。
これらの原因物質を吸い込むと、鼻の粘膜にある肥満細胞という細胞から「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」というアレルギーを起こす物質が出てきて、神経や血管が刺激され、アレルギー症状が起こります。
アレルギー性鼻炎の検査
検査について
ちば耳鼻咽喉科クリニックでは、問診と抗体検査によって診断し、アレルゲンの特定を行います。
診察時に鼻の中(鼻の粘膜や鼻みずの性状)の状態を確認します。そして、必要に応じて以下の検査を行います。
レントゲン検査
レントゲンによって、副鼻腔炎(蓄膿症)やその他の病気がないか確認します。
鼻汁好酸球検査
綿棒で鼻みずを少量採り、その中にアレルギー反応により出てくる好酸球という成分があるかを顕微鏡で見て調べます。
何のアレルギーに反応しているかを特定することまではできません。検査結果が分かるまで 1~2 日ほどかかります。
血液検査
何のアレルギーに反応しているかを調べます。検査結果が分かるまで7~10 日ほどかかります。
アレルギー性鼻炎の治療について
基本的な考え方
治療の基本はスギ花粉症ではスギの花粉を避けること、ダニアレルギーでは掃除などによりほこりやダニを減らすことです。
それでも症状が出てしまうようであれば薬を使って治療をします。
症状改善に必要な3つのポイント
- アレルゲンの除去・回避
- 薬物療法(対症療法)
- アレルゲン免疫療法
薬物療法
患者さんそれぞれの病気の重症度やライフスタイルに合わせた選択ができます。
- 眠気がほとんどなく効果も期待できるもの
- 食事時間などに関係なく1日のうちいつ飲んでもよい
- 鼻づまりに非常に効果が強いもの
- 眠気がでることもあるが、効き目が大変良いもの
など、新しい薬で特徴的な長所を持った薬も発売されてきています。
また飲み薬以外にも鼻に噴霧するスプレータイプの薬や皮膚に貼るタイプの薬もあります。薬に対するご希望がございましたらご相談ください。
花粉症の場合は症状が出る前からの予防的治療「初期療法」が効果的です。花粉が飛び始める少し前(2週間くらい前)から、薬の内服による「初期療法」を始めておくと、症状の発症を遅らせ、花粉シーズン中の症状を和らげる効果が期待できます。
留意事項
症状の度合い(重症度)にあわせて、薬を処方します。人によっては眠気が出る場合もあるので、不都合があった時には内服途中でも構いませんので、再受診してください。
どの薬の場合でも、症状が軽くなっても自己判断で飲むのを中止しないでください。症状が強い場合は頓用でステロイド薬も処方します。
抗ヒスタミン薬
比較的早くくしゃみ、鼻みず、かゆみに効果をあらわします。雨の日でも休まずに、毎日服用していただきます。
抗ロイコトリエン薬
とくに鼻づまりの症状に強く効果をあらわします。効き目が出るまでやや時間を要します。
漢方薬
妊娠中や授乳中などで薬に制限がある方、漢方薬での治療をご希望される方には、漢方薬を用いて症状を緩和していきます。
鼻噴霧用ステロイド薬
くしゃみ、鼻みず、鼻づまりのすべての症状に 1~3 日前後で強い効果をあらわします。
ステロイドホルモン成分は血液への吸収はほぼありませんので、副作用の心配はありません。
スポーツ選手のドーピング検査へも影響はありません。
出来るだけ鼻の通りが良い時に噴霧します。お風呂に入ると鼻通りがよくなるのでその直後に噴霧すると効果的です。
毎日続けることで効き目がさらに増します。
直ぐに鼻づまりが改善する血管収縮剤の点鼻とは違いますので留意してください。
点眼薬
抗ヒスタミン作用の薬です。点眼し1分間眼を閉じているとより有効です。
コンタクトレンズを使用している方はお申し出ください。白内障や緑内障など眼の病気の方は、眼科受診をお勧めします。
これらのアレルギー性鼻炎の治療は、症状を抑えたり軽くするための治療(対症療法)です。
小さいうちに罹ってしまった患者さんは数十年にわたってこの対症治療が必要になる場合も多くあります。
一方、このアレルギー体質自体を治す、または長期間に渡り症状を軽くする事を目的とする治療方法(原因療法)にアレルゲン免疫療法(減感作療法)があります。
アレルゲン免疫療法
舌下免疫療法
スギ花粉・ダニアレルギー(ハウスダストも含む)をお持ちの方は、アレルギー体質そのものを治す『舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)』という新しい治療方法があります。
小学生・幼児から治療を受けることができるため、当院では積極的に推奨しています。
スギ花粉・ダニアレルギー(ハウスダストも含む)に効果的な舌下免疫療法は、下記のページをご覧ください。
セルフケア
日常的に実践できる対策
アレルギー疾患は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を体内に侵入させないことが大切です。
空気中には、ハウスダストをはじめ、カビや花粉などが浮遊しています。それらを吸入してしまうことで、アレルギー性鼻炎をはじめとするアレルギー症状を発症します。アレルギー性鼻炎の治療についても薬物療法だけでは不十分です。
日常的にセルフケアをしながら、予防していきましょう。
詳しい対策については、下記のページをご覧ください。
盛岡市医師広報誌への寄稿
盛岡市医師広報誌へ舌下免疫療法について寄稿しました。(2020年5月)
アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法などに関する、市民向け情報を掲載しています。
資料は下記から閲覧及びダウンロード(PDFファイル:1MB)できます。
ぜひ、ご覧ください。