副鼻腔炎とは
副鼻腔の特徴と役割
顔の骨には、鼻を取り巻くように4つの空洞があります。前頭洞・蝶形骨洞・篩骨洞・上顎洞が左右一対あり、この空洞一帯を「副鼻腔」といいます。副鼻腔は小さな通路で鼻腔(鼻の内部)とつながっており、鼻から吸った空気の加湿・加温作用や音声の共鳴作用に関わっています。また頭の重さを軽くするはたらきをしているという説もあります。
副鼻腔炎とは
風邪などに引き続き起こる細菌感染が原因で、病原菌が鼻や副鼻腔の粘膜に増殖して炎症を起こした状態です。膿が副鼻腔内にたまります。
副鼻腔炎の症状
- 鼻づまり
- 鼻づまりによる口呼吸、いびき
- どろっとした鼻汁(黄色または緑色)
- 鼻汁がのどに落ちる
- 鼻汁がのどに落ちる事による咳や痰
- 夜間の睡眠障害
- 夜間の睡眠障害による日中の眠気、集中力の低下
- 匂いの分別がつきにくい
- 頭痛、頭重感
以上のような症状がみられます。
本人が症状がなくとも鼻づまりや口呼吸、集中力の低下などで家族の方が気づくことも多くあります。また、中耳炎を併発する場合もありますので注意が必要です。
こどもの副鼻腔炎の特徴
こどもの慢性副鼻腔炎は、成長・発育期に起こってくるので、大人の副鼻腔炎の場合とは多少病態が異なります。
副鼻腔炎は、副鼻腔の成長過程や、周囲のアデノイド(のどの上にある扁桃)などの慢性炎症の影響を受けやすく、また体質(アレルギー体質)等も大きく影響を与えます。成長過程に伴って自然と治っていく傾向もありますが、治らないまま症状が悪化していく場合もあります。
一度治っても風邪などがきっかけでまた悪くなることもあります。その症状が出始めたら早期に再受診してください。良くなったり悪くなったりを繰り返し、治るまでに時間がかかることも多いです。あせらずに治療を続けていきましょう。
発症時の注意
お子さんの鼻をかむときは、優しく片方ずつかむように指導してください。
副鼻腔炎の検査・治療
副鼻腔炎の検査
- 鼻鏡検査/ライトを当てて鼻の中の様子を肉眼で観察します。
- 鼻のレントゲン検査/鼻・副鼻腔の写真を撮って、副鼻腔内に炎症や膿がたまっていないかを確認します。
- 鼻の内視鏡/重症の場合、鼻から内視鏡(細いカメラ)を入れて、鼻の奥をカメラで拡大して確認します。
副鼻腔炎の治療
下記のような方法で、治療を進めます。治療が進みましたら、レントゲン検査を行い、病気の治り具合を確認していきます。
お子さんの症状に合わせて選定します
ネブライザーによる治療
ネブライザーとは、霧状の薬を吸入する専用器械です。副鼻腔の腫れている粘膜に直接霧状の薬がかかるように吸入することで、効率よく薬を作用させることができます。つまった鼻の通りを良くし、鼻汁を出しやすくしたり、鼻腔粘膜の腫れなどを鎮めたりする効果が期待できます。
マクロライド系の抗生剤を処方
副鼻腔炎治療ガイドラインで定められた、最も多く行われている標準的治療です。少量ずつ、長期間、内服します。長期間の服用でも安全な治療方法です。
アレルギーをお持ちの方へ
副鼻腔炎の治療と合わせて、アレルギーの治療を一緒に行います。
症状が強い方、早期の治療を希望される方
自宅での治療も希望される方は、鼻うがい液を頒布します。ご希望の方はご相談ください。
※ 重症で、治療を行っても改善がない場合は、手術が必要になることもあります。