昆虫アレルギーとは
通年、注意が必要なアレルギー
花粉やダニのアレルギーは比較的知られていますが、それと並んで注意したいのが昆虫のアレルギーです。蛾やゴキブリなども昆虫アレルギーの原因となります。
ゴキブリは一年を通して活動しており、蛾は春から秋にかけて屋内外で見られ秋は特に多くなります。これら昆虫の糞便や死骸に由来する物質を吸入することでアレルギー症状が引き起こされることがあります。
注意が必要な昆虫
ガ(幼虫)
光を嫌い暗い場所で活動します。衣類を食べる(衣類の虫食い)のは、主に衣類害虫であるイガの幼虫です。
ガ(成虫)
ガは春から秋にかけて(特に秋に多く)屋内外でみられます。夜行性で室内を飛びます。そのため屋内にいるガは目にする機会が少ないです。
ゴキブリ
ゴキブリは、特に夏に多く見られフンや死骸がアレルギーの原因となります。
昼間は暗くて狭い所に潜み、夜間に活動するので目にする機会が少ないです。気温が25度以上になると活動が活発になります。
ユスリカ
1年を通して発生しますが成虫の発生のピークは初夏から秋にかけてです。死骸がアレルギーの原因となります。
用水路や側溝などの水域に発生します。
昆虫アレルギーの主な症状
喘息やアレルギー性鼻炎が引き起こされることがあります。また、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤な症状を呈することもあります。
ゴキブリや蛾などに由来する物質を吸入することで、鼻や気管、気管支、肺などに取り込まれ、鼻水や鼻づまり、咳、喘鳴などの症状が出現します。
検査・診断
昆虫アレルギーでは、症状の出現様式や虫との接触歴を確認することが重要です。
昆虫に対するアレルギーが疑われる際には、血液検査によりIgEと呼ばれる物質を測定します。これにより、アレルギーの有無や程度を確認することができます。
蛾アレルギーについて
鱗粉や糞の除去と蛾が発生しにくい環境づくりを
蛾アレルギーの原因
主に、幼虫のフンや成虫の 鱗粉(リンプン)、粉砕され微細化した死骸がアレルギーの原因となります。
イガは年に3回産卵すると言われており、秋に成虫が産んだ卵は秋から冬にかけて長い間、幼虫期間を過ごします。幼虫は暗くて暖かい場所を好み、繊維やタンパク質汚れをエサとするため、クローゼットやたんすの中は特に注意が必要です。
このように、秋に成虫になった蛾の鱗粉や衣服に付いた幼虫の糞を吸い込むことで、アレルギーを発症するのです。そのため、蛾アレルギー対策は鱗粉や糞の除去と蛾が発生しにくい環境づくりがポイントとなります。
蛾アレルギーのメカニズム
- 1.河川や草地で発生した蛾が灯火に誘引され住宅のガラス窓に飛来
- 2.サッシの桟で蛾が死亡
- 3.サッシの桟で乾燥して微細塵(アレルギーの原因)になる
- 4.窓開け換気の際に室内空気中に微細塵が飛散し、ハウスダスト中に貯留
- 5.人が吸入して咳などのアレルギー症状を引き起こす
その他の蛾アレルギー
その他に家庭で発生する蛾には、食品を害する「メイガ」と衣服に発生しやすい「イガ」がいます。
メイガの特徴
メイガは穀類、乾燥菓子、ペットフードなど食品に発生するのが特徴です。
密閉性の低い保存容器で保存していたり食べカスを放置していたりすると、メイガが発生するもとになります。
イガの特徴
イガは、ウールなど動物性繊維の衣服に発生しやすいのが特徴です。衣服に卵を産むため、クローゼットやたんすの中に発生しやすくなります。
気づいたらウールのコートが虫に食われて穴があいていた、といったことはありませんか。それは蛾の幼虫がいる証拠かもしれません。