乗り物酔いのメカニズム
乗り物酔いが起こる原因
乗り物の動きや揺れや景色の移動などで、目から入る視覚情報と内耳で感知する加速度情報(視機能と前庭機能といいます)のずれが起こります。これは日常受けることがないような刺激が入ってきたときに脳が混乱を起こすためといわれます。
メカニズム
その1/目と耳からの刺激によって生じるトラブル
目から入る視覚情報と内耳の三半規管・耳石器が感知する加速度の情報にずれが生じる。
その2/脳で起こるトラブル
情報を快か不快か判断する扁桃体が、海馬の中にある過去の情報と照らし合わせ不快と判断する。
その3/自律神経に起こるトラブル
自律神経が異常に興奮し、車酔いの症状が生じる。(顔面蒼白、冷や汗、唾液分泌、血圧変動、むかつき、嘔吐など)
思春期の子供や酔いやすい
車酔いの症状は自律神経の異常な興奮によって引き起こされますので、自律神経が不安定になる思春期は酔いやすい傾向にあり、小学校高学年から中学でもっとも多くなります。乗り物に乗る機会が増えて慣れてくること、いろいろな運動をすることで体のバランスをとる働きが発達し、成長と共に少なくなってくることがほとんどです。大人になっても酔う人は精神的ストレスで自律神経が乱れている可能性もあります。
乗り物酔いの予防方法
乗る前の対策
体調を整える
寝不足は大敵です。前日には充分な睡眠、体調管理を心がけましょう。
また、乗る前に排便を済ませることも重要です。便秘の方は注意が必要です。
空腹・食べ過ぎの状態で乗るのは要注意です。
バナナ1本、おにぎり1個程度など、適度な量を事前に食べるようにしましょう。
酔い止め薬の服用
不安が強い人は事前に酔い止めの薬を服用することも必要です。
また酔いを防ぐためには、車内で眠ることも効果が期待できます。
乗車30分くらい前に“トラベルミン”などの酔い止め薬(眠気を催す働きがあります)を飲んで、乗ったら眠ってしまうと有効です。
車中での対策
緊張状態はよくないので、気分をリラックスさせ、呼吸は「深くゆっくりと」を意識してください。
厚着や体を圧迫する下着はなるべく避けて、きついネクタイやベルトなどは緩めましょう。
気分が悪くなったら、早めにシートを倒すか横になると酔いが和らぎます。
飲食による対策
ミントガムを噛んだり、氷(アイスキューブ)を口に含むと酔いが和らぎます。冷たい刺激が自律神経の揺らぎを抑えます。
逆に脂肪分の多い食事や、乳製品・炭酸飲料の飲みすぎはNGです。
梅干しやオレンジジュース、みかんなど生唾が出るすっぱい食べ物も避けましょう。
乗る際の工夫
後ろ向きの座席を避け、進行方向が見える前の方に座ると揺れを軽減できます。
自動車では助手席、バスではなるべく前方、船では振動の少ない中央部進行方向向きの座席に座ります。
柔らかすぎる座席クッションは避け、車内では頭をぐらぐら揺らさないようにしましょう。
ヘッドレストを上手に活用すると頭の揺れを軽減できます。
車内の環境
- 車中のタバコ
- 石油製品
- 排気ガスのニオイ
など、臭いが酔いを誘発することもあります。適度な換気も心がけましょう。
窓を開けて風を浴びたり、外に出て新鮮な空気を吸うことも酔いの対策に効果的です。
暖房が効きすぎや冷房の効きが悪い場合など、車内の温度も注意しましょう。
運転される方の注意
- 乱暴な運転
- 渋滞
- 上り勾配
- つづら折りのカーブ
など
とくに酔いやすくなってしまうポイントがあります。
運転者はアクセルやブレーキの操作をやさしく、一度に速度が変化する量を小さくすることが大切です。
ハンドル操作は「遊び」を意識し、押すようにゆっくり切っていくことを心掛けましょう。
乗り物酔いしにくい体を作ろう
逆さや回転などの刺激に慣れる
ブランコ・シーソー・ジャングルジム・鉄棒など、遊具をうまく活用して、ぶら下がり逆さになったり回転したりの刺激を与えると体が慣れていきます。
自転車や各種スポーツを積極的に
自転車やスポーツによって体を動かしておくと、乗り物酔いしにくい体になっていきます。
次第に自動車・遊園地の乗り物・電車・船などの乗り物を経験しながら、体にいろいろな動きの刺激を与えましょう。
刺激が強く恐怖心を与えると続けることができなくなるので、少しずつ慣れさせることが大切です。
時間や日数をかけて徐々にトレーニングを行っていくと効果的です。