アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは
アレルギー性鼻炎に効果の高い治療法
この病気は「自然に治ることが少ない」という特徴をもちます。
このアレルギー体質自体を治す、または長期間に渡って症状を軽くするために、さまざまな治療方法が検討されてきました。
その中の１つに、アレルゲン免疫療法（減感作療法）があります。
スギ花粉やダニなどアレルギーの原因となる物質（アレルゲン）を少量から投与し、体をアレルゲンに慣らしていきます。
最終的にアレルギーを根本から治すことを目指す治療法です。
およそ3年以上治療を継続した場合に、アレルギー症状がなくなったり、長い年月わたって症状を抑えられる可能性があります。
たとえ、根治できない場合でも、症状を和らげて薬の使用量を減らせます。
いずれにせよ、「身体への負担を軽減できる」という観点から、有効な治療法です。
欧米では広く行われており、その効果も証明されています。
アレルゲン免疫療法の種類
皮下免疫療法
皮下免疫療法は、アレルギーの抗原エキスを少ない量から皮下注射で投与する治療法です。
この治療での大きな課題は、重いアレルギーの副作用が起こりうることです。
注射による皮下投与法ではアナフィラキシーショックと呼ばれる最重症の副作用が懸念されます。
頻度は、0.13%、約800回の注射に1回の割合でおこり、決して稀な数ではありませんでした。
舌下免疫療法
アレルゲンが配合された治療薬を舌下（舌の裏）に投与し、しばらく含んでから飲みこみます。
これを毎日少しずつ継続して、免疫をつくっていく治療法です。
現在、日本では舌下免疫療法は健康保険適用となっています。
※ 2014年にスギ花粉症の舌下免疫療法が保険適用になる。
※ 2015年にダニの舌下免疫療法が健康保険適用になる。
ちば耳鼻咽喉科クリニックでは、この「舌下免疫療法」を、スギ花粉症とダニのアレルギーでお悩みの方に推奨しております。
詳しくは下記で解説いたします。
舌下免疫療法という選択肢
舌下免疫療法とは
抗原エキスが含まれる錠剤を1日1回舌下（舌の裏）に投与するだけなので、患者さんへの負担はほとんどありません。
当初は12歳以上を対象に始められましたが、その後、新たな研究により現在は5歳以上が対象となりました。
幼児から治療を受けることができるため、当院では積極的に推奨しています。
アレルギー性鼻炎でお困りの方は当院へ
舌下免疫療法は大きな副反応の頻度が低く、自宅での投与が可能です。その手軽さから、この治療方法を選択する患者さんも増えてきています。
それぞれのアレルギーを対象とした舌下免疫療法は、下記のページをご覧ください。
新しいアレルギー発症と喘息発症の予防効果
アレルギーを根本から治す時代へ
舌下免疫療法には、鼻アレルギー・眼のアレルギー症状への効果の他に、新たなアレルギーの発症の予防効果が期待されています。
ある研究では、新しいアレルギーの発症率減少と、喘息発症の予防効果があると証明されたデータがあります。
新しいアレルギーの発症率減少
ダニアレルギー性鼻炎の患者さんを分析
一方、舌下免疫療法にて3年間治療を継続した患者さんは、新しいアレルギーを発症した方が21%、さらに5年間治療を継続した方は11%まで減少しました。
喘息の予防効果
小児のアレルギー性鼻炎患者さんを分析
舌下免疫療法を3年間実施した144名のお子さんの中で、喘息を発症したのは2名（1.5%）でした。
一方、舌下免疫療法を行わなかった72名のお子さんは、19名（28.2%）が喘息を発症しました。
このように舌下免疫療法には、新しいアレルギー発症の予防効果と、喘息発症の予防効果が期待できるとされています。
まずは専門医へ相談を
今後はアレルギーを根本から治す治療の方法に世の中の流れがシフトしてくると予想されます。
これによって重症患者さんの病気をコントロールできるようになり、多くの患者さんが恩恵を受けると考えます。
舌下免疫療法も副作用がまったくないわけではありません。
舌下投与法は各家庭で行うことになりますので、治療を受けるにあたってはアレルギーに精通した専門医への相談は必須です。
アレルギー性鼻炎でお困りの方は、お気軽に当院へご相談ください。
盛岡市医師広報誌への寄稿
アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法などに関する、市民向け情報を掲載しています。
資料は下記から閲覧及びダウンロード（PDFファイル：１MB）できます。
ぜひ、ご覧ください。
